被爆アオギリ

アオギリは広島市の被爆樹木の中でもシンボル的な存在です。

広島平和記念公園では、被爆アオギリが2本植えられています。元々このアオギリは当時の逓信病院(現在の広島はくしま病院)で被爆しました。当時、病院で働いていた沼田鈴子さんは被爆後、生きる気力を失っていましたが、病院内の被爆したアオギリに勇気をもらいました。昭和48年にアオギリが平和記念公園に移植され、沼田さんは多くの人にアオギリを通して原爆の悲惨さを訴え続けました。

アオギリをモチーフにした歌があります。森光七彩さんは小学校2年生の時に平和学習をきっかけに「アオギリのうた」を作詞作曲しました。周りの風景や被爆後も芽吹いたアオギリの強さ、平和の大切さなどを書き留めた歌となっています。自身が通う校庭の被爆アオギリ2世の世話係を担当する中、担任の先生から「この木のお母さんがいるんだよ」と教わったことで、平和記念公園へアオギリに会いに行きました。森光さんは「この歌がなかったらここまで平和について考えることはなかった」と言います。現在も広島県内外で広く歌われ、平和記念公園のアオギリの前でも歌が聞けるようになっています。

イベントで「アオギリのうた」を披露する森光さん

イベントで「アオギリのうた」を披露する森光さん

2022年に広島電鉄㈱と連携し、被爆アオギリデザインのラッピング電車に乗って、アオギリに会いに行くイベントを実施しました。これは「アオギリのうた」の「電車にゆられ 平和公園 やっと会えたね アオギリさん」の歌い出しを体験していただきたいという思いから実施しました。アオギリに会いに行った後は、期間限定で設営した愛宕池付近に群生している被爆樹木を見ながら楽しめるカフェへ移動。カフェでは森光さんによる「アオギリのうた」のライブや被爆樹木のトークセッションがありました。

被爆アオギリをデザインしたラッピング電車

被爆アオギリをデザインしたラッピング電車

愛宕池の被爆樹木前に設営したmidori cafe

愛宕池の被爆樹木前に設営したmidori cafe

広島市では広島の平和の心をいつまでも忘れずに伝え、平和を愛する人の輪を広げていくことを目的に、被爆アオギリ2世の苗木を配布しています。自治体や学校を中心にこれまでに1000本以上の苗木が配布されました。